大空寺障壁画(襖絵) 鶴澤探泉「松に鶴図」・西村楠亭「牡丹に孔雀図」
大空寺には江戸時代後期の絵師・鶴澤探泉の襖絵「松に鶴図」と、西村楠亭の襖絵「牡丹に孔雀図」が計二十四面伝えられています。
両作品とも細密な描写と金砂子を効果的に蒔いた視覚的な華やかさが特徴で、空間の広がりや遠近表現など、文化文政期を中心とする時期の花鳥画の作品に多く見られる特徴を持っています。
鶴澤探泉は文献によっては京狩野家よりも家格を誇っていたにも関わらず不明な点が多く、また作品もほとんど紹介されていないため、この「松に鶴図」は鶴澤派を知る大変貴重な資料です。
大空寺では以前、これらの襖絵を正月松の内のみ本堂に並べる習慣になっていました。このため一月十七日に発生した阪神・淡路大震災では直前に蔵に移動しており、旧本堂の倒壊に巻き込まれることなく現存しています。

- 鶴澤探泉 (つるさわ たんせん 1755-1816)
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江戸時代後期の狩野派の絵師。江戸時代中期に活躍した絵師・鶴澤探索(つるさわたんさく)の養子で、鶴澤派の4代目。
- 西村楠亭 (にしむら なんてい 1755-1834 生年諸説あり)
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探泉と同じく江戸時代後期の絵師。京都生まれ。円山派の祖である円山応挙の門人だが、今日確認される作品はかなり少ない。